逆子にお困りの方へ・・・

逆子とは?

逆子(さかご)とは、

胎児が子宮内で通常の位置ではなく、

お尻や足が子宮口に近い位置にある状態を指します。

通常、胎児は頭が下を向いていることが一般的で、これを頭位と呼びます。

しかし、逆子の場合、胎児がお尻や足が下を向いていることがあります。

これを逆子(骨盤位)といいます。

逆子の原因は様々であり、以下にいくつかの要因が考えられるといわれています。

西洋医学的に考えられる逆子の原因

  1. 子宮の形状異常
    子宮が普通よりも異常な形状を持っている場合、
    それが逆子の原因となることがあります。
  2. 多胎妊娠
    双子やそれ以上の胎児がいる場合、子宮内のスペースが狭くなり、
    胎児が頭位になりにくくなります。
  3. 羊水の量の変化
    羊水が多すぎる(多羊水)または少なすぎる(少羊水)場合、
    胎児が自由に動くことが難しくなり、逆子になる可能性があります。

また、これだけではなく東洋医学的に考えた場合の要因もあります。

当院で考える逆子の原因(上記以外)

  1. 冷え
    おへそより下・下半身に冷えがある場合、
    赤ちゃんは冷えを避け、頭を心臓近くにして守る姿勢になり、逆子の状態になります。
  2. 骨盤のゆがみ
    骨盤・お腹の中は赤ちゃんの部屋になります。
    部屋の中がゆがんでいると、余裕のある場所に頭を入れたくなり逆子に繋がりやすくなります。
  3. 便秘
    2と同じでお腹の中に余計な便が溜まると、
    部屋(お腹の中)に余裕があるところとそうでないところが生じ、逆子の要因となります。
  4. その他
    体質や骨格によって起きている場合があります。

逆子の主な対処法

逆子が確認されると、医師の診断の元、対処法や治療法を提案されます。

  1. 鍼灸院への受診
    逆子の矯正には子宮収縮をおさえ、子宮の血流を良くしてあげることが重要です。
    それを可能にするのが鍼灸療法です。
    血流が良くなることで、赤ちゃんに正しい場所に戻る力をつけてあげることができるのです。
  2. 逆子体操
    特別な姿勢をとることで、胎児が自分で回転するのを促すことができます。
    しかし、子宮収縮を生じさせることがあるため、必ず医師に相談した上で行う事が重要です。
  3. 外回転術(ECV)
    医師が手技でお腹を押したり引っ張ったりして、胎児を頭位に戻す試みが行われることがあります。
  4. 逆子のままの分娩
    逆子のままでも安全に分娩できる場合がありますが、その際は医師と相談しながら進められます。
  5. 帝王切開
    逆子のままでは通常の分娩が難しい場合、帝王切開が行われることがあります。
    多くのクリニックが帝王切開を勧めます。

逆子については、専門の医療機関での詳しい相談が必要です。

逆子の管理には様々なアプローチがあるため、

具体的な状況に合わせて最適なアプローチを提案させていただきます。

 

先ほど出てきた鍼灸・外回転術・逆子体操のそれぞれの詳しい特徴や実際についてご紹介いたします。

ECV(外回転術)とは?

ECV(外回転術)は、逆子の胎児を手技で正しい位置に戻すための医療的な処置です。

このプロセスでは、産婦が病院で医師の指導のもとに横たわり、

医師がお腹の外側から手を使って胎児を押したり引っ張ったりして、頭位に戻すことを試みます。

外回転術に重要なのは以下の項目になります。

  1. 適応症
    外回転術は通常、逆子が確認された妊婦で、かつ妊娠が順調である場合に行われます。
    逆子が判明した時期や逆子の種類(座位)によっても適応が異なることがあります。
  2. タイミング
    外回転術は通常、妊娠37週以上の時期に行われることが一般的です。
    これは、胎児が十分に成熟しており、かつ子宮が十分に大きくなっているためです。
  3. モニタリングと評価
    外回転術は慎重かつ安全に行われる必要があります。
    医師は超音波検査や胎児心拍モニタリングを使用して、胎児の状態を評価し、手技を行う際に慎重に進めます。
  4. 痛みの管理
    外回転術は時に痛みを伴うことがあります。
    一般的には、事前に麻酔や筋弛緩剤が使用されることがあります。また、患者の快適さを最大化するために様々な方法が試されることがあります。
  5. 成功率とリスク
    外回転術の成功率は患者の状態や経過に依存しますが、成功すると逆子が正しい位置に戻り、通常の頭位となります。
    しかし、全てのケースで成功するわけではなく、失敗することもあります。
    また、外回転術には胎児ストレスや早産のリスクが伴う場合があります。

外回転術の実施には慎重な判断が必要であり、医師との十分な相談が重要です。

逆子の管理において、帝王切開を回避するための一つの選択肢として検討されることがあります。

外回転術のデメリット

しかし、外回転術にはいくつかのデメリットがあります。

  1. 成功率の不確実性
    外回転術の成功率は個人差があり、全てのケースで成功するわけではありません。成功しない場合、逆子のまま出産の準備をする必要があります。
  2. 痛みや不快感
    外回転術中に患者は痛みや不快感を経験することがあります。医師がお腹を押したり引っ張ったりするため、これによる短時間の痛みが生じることがあります。
  3. 胎児ストレスのリスク
    外回転術は時に胎児にストレスをかけることがあります。心拍数の変動やその他の問題が発生する可能性があり、そのためには胎児モニタリングが必要です。
  4. 早産のリスク
    外回転術が早産を引き起こす可能性があります。逆子の状態が37週以上でない場合、早産のリスクが増加することが懸念されます。
  5. 帝王切開の可能性
    外回転術が失敗した場合や胎児や母体の状態に問題が生じた場合、帝王切開が必要になる可能性があります。
  6. 再逆子の可能性
    外回転術で正しい位置に戻ったとしても、その後再び逆子に戻る可能性があります。

これらのデメリットは一般的なものであり、個々のケースによっては異なる可能性があります。医師と患者は慎重にリスクと利点を検討し、逆子の管理において最適な選択を行うべきです。
外回転術は慎重に実施され、患者が適切にモニタリングされることが重要です。
また、

・破水
・性器出血
・一過性の胎児心音異常
・常位胎盤早期剥離

などが起こる可能性があるため、現在産院では帝王切開をメインで行い、

様々な問題から外回転術を行う病院が少なくなってきています。

逆子体操とは?

逆子体操とは、

妊娠中に胎児が逆子の状態にある場合、それを正しい頭位に戻すために行われる一連の体操やエクササイズのことを指します。

これらの体操は通常、特定の姿勢や動きを組み合わせ、胎児が子宮内で回転しやすくなるように促します。

ただし、逆子体操の効果に関しては科学的な裏付けが限られており、その効果の程度は確定的ではありません。

逆子体操の種類

逆子体操には様々な種類があり、以下は一般的な例です

  1. 前かがみの体操
    前かがみの姿勢で床に手をつき、お尻を高く上げる体操が含まれます。この動きは、胎児が子宮内で回転するのを助ける可能性があります。
  2. 背中を反らせる体操
    背中を反らせる運動は、お腹の底に圧力をかけ、胎児が頭位に戻りやすくすることが期待されます。
  3. ヨガのポーズ
    特定のヨガポーズやストレッチも逆子体操として推奨されることがあります。ただし、妊娠中のヨガは慎重に行う必要がありますので、専門のインストラクターと協力することが重要です。

逆子体操については、主治医や産科医師と相談した上で行うことが重要です。
ただし、これらの体操が効果的であるかどうかについては科学的な合意が得られておらず、確実性はありません。とされています。

なぜ逆子体操が効くとされているの?

科学的根拠はないとされていますが、以下のことから逆子体操が効くとされているのではないか、と考えられます。

  1. 胎児の動きを促進
    逆子体操が特定の運動を含む場合、それが子宮内での胎児の動きを促進し、正しい頭位に回転しやすくする可能性があります。
  2. お腹の圧力の変化
    逆子体操によってお腹の底や背中にかかる圧力が変化し、これが逆子の胎児に影響を与え、正しい位置に戻りやすくなる可能性があります。
  3. 適度な運動の促進
    逆子体操が妊娠中の適度な運動を促進する場合、これが母体の健康状態を維持し、逆子に対するリスクを軽減する。

逆子体操のメリット・デメリットは?

メリットとして以下のことが考えられます。

  1. 妊婦さんの生活習慣の見直しに繋がる
    冷えや運動不足によって逆子になると考えられることもあります。
    逆子体操の実施により多少にはなりますが、生活習慣の見直しや、運動習慣の形成につながると考えられます。
  2. 出産を控えたお身体の準備
    出産するにあたり、体力が必要となります。
    産休に入りたて・お身体を大事にするあまり、家にこもりがちになりやすくなります。
    逆子をきっかけに逆子体操から入り、ウォーキングなども取り入れる妊婦さんを多く見受けます。
  3. はじめやすい
    他の対処法より、時間さえあればできるものではじめやすいです。
  4. リスクがほとんどない
    運動なので、オーバーワークし過ぎない限り、他の対処法に比べてリスクが少ないです。

デメリットとしては以下のことを考えられます。

  1. 効果の不確実性
    逆子体操が逆子の胎児を確実に正しい頭位に戻すかどうかについては科学的な確証がありません。そのため、逆子体操の効果に関しては保証されていないと考えるべきです。
  2. 過度なストレッチのリスク
    過度なストレッチや無理な運動は、妊娠中において母体や胎児に対するリスクを引き起こす可能性があります。
    適切なアプローチでない場合、逆子体操が胎児に影響を及ぼすことが懸念されます。
  3. 母体の不快感や疼痛
    特定の逆子体操が不適切である場合、母体が不快感や疼痛を経験する可能性があります。
  4. 逆子の原因が体操では解決できない場合
    逆子の原因は様々であり、特定の体操だけで解決できない場合があります。
    例えば、子宮の形状異常や胎児の位置が特殊な場合、体操だけでは逆子を矯正するのが難しいことがあります。
  5. 自己判断のリスク
    医師の指導なしに逆子体操を行う場合、適切な判断が難しく、自己判断による誤ったアプローチがリスクとなります。

以上のことが挙げられます。

鍼灸の逆子治療とはどんなもの?

鍼灸の逆子矯正は基本的お灸がメインとなっていきます。

逆子鍼灸治療のメリット・デメリット

逆子になったとき、鍼灸治療をするメリットとしては、母子ともに安全な治療であるということです。

逆子のままでは、帝王切開もしくは逆子の状態での経膣分娩が待っています。

ここまるに来院される逆子患者さんが口々に言うのは、

「帝王切開をしたくない」

です。

帝王切開は外科的治療になるので、傷口が残りますし、麻酔も行います。

自然に、経腟分娩で出産したい という希望がある方にとっては好ましいものではないかと思います。

「おもな逆子鍼灸治療の文献データ等」では、産婦人科医の林田氏の臨床データとして示されているように、

584例の逆子に対して矯正成功率が89.9%と高い事例が報告されています。

デメリットしてしては、

逆子治療のお灸はほかのお灸より、軽い水泡(すいほう、いわゆる水ぶくれ)ができやすい場合があることです。

しかし、当院でやるお灸は半米粒大である為、火傷の痕は残りませんのでご安心ください。

もし、逆子で鍼灸治療をする場合は、

妊娠28週以降1日でも早く開始すること矯正率も高くなり、メリットはますます高くなります。

しかし、逆子と一口に言っても逆子鍼灸が行えない場合があります。

逆子鍼灸治療をさけるべき場合

リスクの高いハイリスク群として

・過去に習慣性の流産・早産・死産を経験された方

・頸管無力症

などがある場合は逆子鍼灸治療のみならず、逆子体操も避けた方がいいと考えられます。

また、

・多胎妊娠

・膣炎

・子宮の奇形 (場合によります)

・重症妊娠中毒症

・尿路感染症

・前置胎盤

などがある場合は鍼灸治療をさけるべきと言われています。

逆子が直りにくい場合

逆子が直りにくい場合として、

・羊水量の過少

・臍帯巻絡(さいたいけんらく)

・子宮筋腫

・双角子宮

・胎児奇形

・過短臍帯

・腹部緊満感

などが考えられます。

早急な逆子鍼灸治療程よい理由

妊娠28週目以降1日でも早い鍼灸逆子治療がよい理由の例としては、以下にあげられます。

1.羊水の量が少なくなってくる
妊娠中期は羊水の量が多いが、妊娠末期なると少なくなって胎児が回転しにくくなる。

2.胎児の可動性は、妊娠週数が遅いほど制限されてくる
妊娠中期では比較的自由に動けるが、妊娠末期では動きが制限されてくる。

3.妊娠末期でも逆子が3~5%あり、ゼロではない
妊娠中期で逆子が40~50%で、妊娠末期に3~5%に減少するとしても、まだ100人のうち3~5人が逆子のままである。
逆子の妊婦さん本人にとっては、100%かゼロしかないので、副作用の少ない逆子矯正お灸治療を早めに開始する価値は十分あるといえるでしょう。

出産を控えている中で逆子と診断され、不安を抱えている方が多いかと思います。

ひとりで抱え込まず、ぜひ1度当院にご相談ください!

わたしたちがお力になります!

鍼灸師 猪之鼻